遅れ先立つほどへずもがな

  きらきら輝き覚えた 君を見上げるように

指定されない難病

薬なしに生命を維持できない病気があります。一型糖尿病もそのうちの一つです。
一型糖尿病ではインスリン自己注射が必須ですが、それだけではよい血糖値を維持できないので多くは自己血糖測定、持続的グルコース測定、インスリンポンプなどの高度な医療機器も用いられます。どのような治療を選択するかによって変わるものの、月1万円から3万円(3割自己負担)の医療費がかかります。月3万円だと年間では40万円程度が必要で、他科の受診も必要であるとそれ以上の治療費が必要です。
私のように無職になると健康保険料(税)は翌年から年間25万円程度に下がりますが、国民健康保険に切り替えた当年は年間50万円から60万円の保険料を払わなければなりません。無職になった途端に年間100万円程度が必要ということです。
この3割負担は70歳まで続きます。70歳以上になると軽減されるかというと、多くの人は2割負担(75歳以降の後期高齢者では1割負担)となりますが、一定以上の収入があると一律3割負担になってしまいます。
厚生年金を受給するひとならおそらく3割→2割→1割となりますが、一型糖尿病の治療費だけでも合算すると相当な額になるので、将来の生活費の計算には注意が必要です。
ただし、若年で一型糖尿病になった場合ではそもそも就職に制限がある場合が多く、収入が多いひとは少ないでしょう。例え就職して厚生年金を支払っても就職前に一型糖尿病を発症したひとでは障害厚生年金も受けられず(発症日基準)、20歳以降70歳までは3割負担で治療費を支払続けねばならず、どう考えても親の収入や遺産が多くなければ破産する場合が多いだろうと推察されます。
20歳(難病申請しなければ18歳)までは「小児慢性特定疾患」として公費で治療を受けられるのに、20歳になった途端に健常者と同じ扱いになるというのは、どのように考えても理解できません。治療費の全額補助を受けられる生活保護者になれということなのでしょうか。これは中年においても同じです。治療費が生活を圧迫する(それでなくても治らない病気で精神的にも肉体的にも様々な難儀を受けている)のが本当に社会正義なのでしょうか。LGBTQも結構ですが、もっと致命的な疾患に対して社会の理解(実際にはそれを実現する医療/行政側の行為)が必要なのではないかと思います。
高齢者に対しても指定されない難病者に対しても、金がかかるから早く死ねといっている今の社会はどうかしていると思います。

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