遅れ先立つほどへずもがな

  きらきら輝き覚えた 君を見上げるように

知らないうちに誘導されている

株式会社エイチームがどんな会社なのか認識していませんが、グーグルドライブの社内ファイルが外部から自由に見られる状態になっていたことにより取引先、顧客、退職者などの情報が流失したとのことで、業務で使用するならセキュリティはしっかり設定しておけよと言いたいところです。しかし、今回のケースにかかわらず、私もOnedriveやGoogledriveを使用していると、少なくとも私の意志とは関係なしに、私の所有している情報が勝手にオンラインストレージ上に保存されているケースがあるので、どこかに問題の種を内包しているのではないかと感じます。
具体的に例をあげると、Windows11を初回起動設定するときに(少なくともWindows11  Home Editionでは)マイクロソフトアカウントと紐づけなければならず、その紐づけたアカウントのOnedrive上に物理PCのデスクトップやドキュメントなどのフォルダの実体が勝手に(オンライン上に)設置されているのです。確かに物理PCのSSDが故障した場合に、上記フォルダがOnedrive上に残っていれば、初心者ユーザであればそれを再リンクすることにより見かけ上復旧させることができる(何しろ実体データはOnedrive上に残っているから、同じマイクロソフトアカウントで再インストールすれば復活する)というメリットもないではありません。
しかし、その設定は例えPC作業に慣れたユーザであっても(←私自身を想定しています)、初めてWindows11の立ち上げ設定時に勝手にリンクされているとは認識できないので、ドキュメントフォルダの物理位置を確認して初めて自分のPCに実体がないことを知るというのは気持ちのいいものではありません。自分のデータをどこに保存するかは自分で選択したいのが当然で、自動的にオンラインに配置していいかはユーザに一応確認すべきであると思います。フォルダやクラウドの概念もないユーザ向けには推奨という形でデフォルト設定ボタンやチェックボックスを選択させるようにすればよく、上級ユーザを騙し討ちにしてオンラインにファイルを置かせるというのは一種の詐欺であるように感じないでもありません。
これだけ寡占化が進むと「嫌なら使うな」というのは無理な話であり、いくらWindowsがコモデティ化しているとしても決定的な選択はユーザが意図したものになっているべきなのではないでしょうか。まあ、それとファイル流出は直接関係がないとしても、OneDriveの設定の複雑さ(というよりあえて設定をコントロールし難くしているのではないかというような状況)が、オンライン上のファイルが意図せず公開されているということにまったく関係がないということもないでしょう。一つの重大災害の裏には29件の重大でない災害があり、さらにその背後には300のヒヤリハットがあるというハインリッヒの法則のような状況があるのかもしれません。
オンラインファイルの共有や公開の設定は難しいですよね。可視化された状態で確認できるようなサービスを用意してほしいものです。

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