遅れ先立つほどへずもがな

  きらきら輝き覚えた 君を見上げるように

移動体通信をめぐる実質値上げという自由化の失敗事例なのか

以前このブログにも書いたように、私はOCNのmobile oneを契約しています。先日mobile oneユーザにとって寝耳に水の発表がありました。直近ではNTTレゾナントNTTコミュニケーションズ(MVNE)からNTT回線のまた貸しを受けてmobile oneをMVMOとして営業していたところ、そのNTTレゾナントNTTドコモと合併してしまったのです。その結果としてmobile oneはMNOのNTTドコモMVNOとして提供する形となりました。しかし、最近になってNTTドコモは同時に(=7月1日より)irumoとeximoというサービスをMNOとして提供開始することも発表しました。mobile oneの回線はNTTドコモからNTTコミュニケーションズに貸し出され、それをNTTドコモが借り受けるというビジネスモデルとなりあきらかに不自然な形態です。早晩NTTドコモはmobile one事業を停止し、実質的受け皿であるirumoに吸収するものと考えられます。
問題はirumoがNTTドコモの一サービスとして設定されていることで、同じ程度の条件で比較すると実質値上げになってしまうことです。これは総務省MVNOではなく、MNOのサービスとして料金値下げを要求していたということが原因と言われていますが、これらの新しいサービスが他のサービスとの組み合わせによって値引きされた料金体系で説明されていて巧妙に隠されているものの、値引き後の料金でも従来のOCNの料金と比較して微妙に値上げになっていることから、一種のステルス値上げということなのでしょう。
一番割を食うのは旧mobile oneのユーザであり、当面は現在のサービスが継続されるものの、NTTドコモは当然にirumoへの移行を促す(あるいはmobile oneのサービスから追い出す)ために、何らかの手を打ってくるはずです。一番の懸念はサービス終了ですが、それ以前に最近向上してきていた帯域(スループット)の問題がまた先祖返りして悪化していくだろうということが予想されます。
いずれにしてもmobile oneに先はないので、他の事業者への移行を検討しなければならなくなりました。余計な総務省の要求(携帯電話料金の大幅な値下げの要求)のせいで、相対的にMVNO各社の経営が立ち行かなくなりつつあって、魅力的な移行先が見つけられないという状況です。電力料金改定でもそうですが、見かけの規制(あるいは準規制)料金の値下げ要求は、特にそれが原価割れレベルであれば結局のところ新規参入者のビジネスモデルを破壊し(なぜなら、自由料金は規制料金が上限となるから)、結果的に寡占状態を作り出し消費者の選択肢を失わしめることになるのです。経済産業省が出てくるとその産業は破壊されると一般的に言われていますが、総務省も同じ構図になってきました。
やれやれ。

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