遅れ先立つほどへずもがな

  きらきら輝き覚えた 君を見上げるように

リスキリングは一企業のマーケット拡大のためのものだったのか

とある企業が東京都の「DX人材リスキリング支援事業」を受託したという記事を見ました。
最近突然リスキリングという聞きなれない言葉がやたらと強調されているなと思っていたら、一企業のマーケットの拡大のための音頭だったのかとも考えられなくもないという気がしてきました。
そもそも「スキル」とは何ぞやというところから考え始めると、リスキリングというのはもはや理解不能な領域のお伽噺のように思えてきます。これまでと異なる専門性を要求されるスキルなのであるとすると、30代以降の硬直化した脳(と筋肉)であれば対応不可能なのは火を見るよりも明らかで、リスキリングに真面目に取り組む企業があるとすれば愚かとしか言いようがありません。
ただ、これまでの延長線上で専門性のあらたな開拓(卑近な例で言えばプログラム言語を変えるなど)であれば、このハードルは非常に低くて、しかも簡単な割に効率的だったりしますので、ぜひその方向でお願いします。
専門性が「上司に気に入られる仕事のやり方」や「会社を首にならないでサボる方法」などの「やってる感の醸し出し方」であるとすると、この専門性の延長は新たな専門性の開拓ではなく、単なる類似の延長ですね。したがって、当然リスキリング必須の世界では労働の流動性と引き換えに新たな専門性が必要とされる(日本の労働市場流動性が小さいから在職のまま別のスキルが必要となる)のですから、新たな専門性が獲得できない労働者には単純労働しか選択肢がなく、首にならなかったとしても最低賃金で頑張るしか残された道はありません。
東京都といえばこのところNPOへの委託事業でとやかく話題になっているところでもあり、この件もきな臭い香りがして、あながちあり得ない考えでもないといえるでしょう。

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